風に君の長い髪が散る。
窓を閉めようかと問えば、そのままで良いと微笑む。
アクセルを踏み直す。
歓声をあげる君に、愛しさが募って止まない。

*

誰にも邪魔されないように、そうでしょう、
白い毛布を被って海にもぐるの。
海のそこにはふたりしかいないもの。
魚になって、そのまま、ふたりそのまま、

*

綺麗な空だね。
君のほうが綺麗だけれど、ああ、本気だよ僕は、
そうやってむくれる頬っぺたも可愛いんだから。
ほら、御覧、綺麗な空だよ、

*

あなたが白と云えば、私は黒と云う。
あなたが上に行けば、私は下へ行くの。
必ずまた廻り会えると信じているから、だから、
今だけ、このまま、ふたりでひとつ。

*

さようならという言葉が嫌い。
君が悲しい顔をするから、二度と云わない。
つないだ手は離さない。
君が囁く透明なな言葉を、決して聞き漏らさないように。





ふたりのおはなし