きみの指が落ちる夢












暗い部屋の中、きみと、私は、嘘を吐き合う。
その距離は近いくせに、宿命の遊離は回避できません。

徐に私を抱きとめる腕がいかにも意地らしく、寒く、曖昧で、愛おしい。
掌に乗せた3粒の薬を、一粒取っては私の口に放るのです。
震えていたのは私でなく、きみの手であり肩でありその、きみそのもの。
まだ明日に戻れるだろうかと問えば、眼が覚めれば今日が来ると、きみは云う。
壁の向こうで賭け事をする男の声がして、

「ここに永遠はない」とそれだけ囁いて、きみは、私を置いて、消失した。